《デイコールの有用性について》

 

“デイコール”の有用性を地域再生に活用する

 “デイコール”(定時自動発信機能)とは、毎日定時刻の自動発信で開始される「短時間内電話交信」のことを言います。

 これは、連日定時刻に継続して行われる人間同士の肉声を介する心の交流(ヒューマンコミュニケーション)であり、停電時にも使える従来型の固定電話機本来の機能「地域(人的交流)再生ツール」であり、「会話の力」でもあります。

(1)デイコールが発揮させる「会話の力」の効果
① 高齢者や災害弱者等、「人の安否確認」ができる唯一の方法である。
② 毎日定時の肉声による呼び掛けが、精神的刺激となり生体時計が調整されて甦り、認知症予防に役立つ。
③ 毎日定時に必ず肉声で、容体や安否を確認することで、高齢者の不安感や孤独感を除去して地域共生連帯感や生き甲斐を見出させるのに役立つ。
④ 毎日定時の会話で、安否や健康情報の先取り効果で、事故や病気になる前への対応が可能である。
⑤ 毎日定時の会話が、電話回線を含むシステムの正常な稼動を毎日証明し、管理責任を明確にすることができる。
⑥ 毎日定時の会話が、できないことを緊急事態として対処するため、例え、突然死の場合でも、遅くても24時間以内に必ず発見し、在宅での最期を迎えさせて上げる。日本で初めてのシステムである。

(2)デイコールを地域コミュニケーション(安否確認)システムに活かす
 デイコール(定時自動発信機能)が発揮する「会話の力」の効果が、高齢者や災害弱者等「人の安否確認」ができる唯一の方法である。
全国で所在不明の高齢者が相次いで発覚した問題を受け、大阪府池田市議会は2010年12月21日、民生委員らが年2回、65歳以上の高齢者宅を訪問して安否を確認することなどを定めた条例案を全会一致で可決した。
 2011年1月1日に施行される。高齢者の安否確認作業を条例化するケースは全国初とみられる。
 安否確認の対象となるのは65歳以上の市民約2万3千人のうち、過去1年間で介護保険や後期高齢者医療保険の利用がない6500人程度になる見込み。65~74歳は地域ボランティアの福祉委員、75歳以上は民生委員が担当し、高齢者本人が不在だったり家族が訪問を拒否したりして確認が難しい場合は、市職員が立ち入り調査できるが、2012年1月9日午後4時5分頃、大阪府池田市鉢塚の民家で、87歳の母親と60歳の息子の死後数か月の遺体を訪れた親戚が見つけている。デイコールは、毎日定時に、自動的に、人間同士の会話で、高齢者や災害弱者等、「人の安否確認」ができる。日本で初めてのシステムである。

(図5)地域コミュニケーションシステム電話回線模式図(著者作成)

著者は、「デイコール問診システム」の開発者で、「デイコール問診モデル事業
の運営管理の実務責任者として、モデル事業に直接従事した経験を通して「デイコール」それ自体がもつ社会的有用性に着目し、これを単に在宅医療に応用するだけでなく、保守点検や通信回線を含めたシステムの正常稼動を毎日証明しなくても管理責任が全く問われないなどの理由で、一度設置すると半ば放置状態に置かれている独居老人や高齢者など「人からの24時間緊急通報システム」(図5)にも応用し、これからの少子・高齢者時代を地域の人々と安心して暮らせる地域共生型社会づくりにも活用すべきと考えている。

(3)デイコールが発揮させる「会話の力」で“無縁社会”を解消できる
“無縁社会”の原因の一つに、「人間よりも機械頼み」の日本のIT社会がある。又、「孤独死」や「認知症」が多発し続ける原因でもある。
パソコンやインターネットや携帯電話の時代に、従来型の固定電話機で何ができるのかと馬鹿にされてきた。「人間よりも機械頼み」の日本のIT社会では、機械化と言うコスト(手抜き)面からの効率化が、人間対人間の関係を人間対機械の関係から、機械対機械の関係に置き換えてきた結果、機械に職場を奪われ、機械に使われ、手数料を取られ、機械に計算力や記憶力も奪われ、今やコミュニケーションも奪われ、コミュニティも崩壊し孤立化した「無縁社会」となっている。最近では、IT社会が、コミュニケーション(C)を奪った反省かICTとコミュニケーション(C)を加えた標記になっている。
「会話の力」とは、人間同士の肉声を介する心の交流(ヒューマンコミュニケーション)であり、2003年8月14日に発生した、ニューヨークの大停電事故でも見直され、今回の東日本大震災や計画停電でも見直されている。停電時でも使える固定電話機本来の機能「地域(人的交流)再生ツール」である。現在、国内で停電時に使える通信回線は、公衆電話回線網と固定電話回線網のみである。
昨今の様々な事件・事故のその背景には、地域内コミュニケーション(人間関係)の崩壊がある。本来、人間同士の会話が基本のコミュニケーション(人間関係)を再生しなければ、日本社会は大変なことになる。いや、もうなってしまっている。
デイコールで、固定電話機本来の機能「地域(人的交流)再生ツール」である「会話の力」を活用することで“無縁社会”を解消することができる。

(4)デイコールが発揮させる「会話の力」が在宅での最期を迎えさせる
1994年4月の診療報酬改定で、かかりつけ医制度と在宅医療を推進するため、開業医(かかりつけ医)に、寝たきり老人在宅総合診療料及び24時間連携体制加算料が診療報酬として算定請求できるようになった。
 高齢化社会を支える医療インフラとして、在宅医療に積極的な往診(訪問診療)をする開業医(かかりつけ医)は、絶対に欠かせないが、在宅での死を看取るといった使命感を忘れ、公的介護保険では、かかりつけ医としての責任を果たそうとしない医師が多いため、在宅医療は進んでいない。しかし、在宅医療には高額な診療報酬が設定されているため、在宅医療を実施する旨の「在宅総合診療制度」実施届出書は多く提出されている。書類さえ提出すれば、診療報酬請求の算定基準を満たさなくても、高額の診療報酬が得られ、その制度や診療情報は、患者や外部には一切漏れない仕組みになっている。これが、老人医療費が急増した原因である。
在宅での最期を迎えさせるデイコールシステムは、在宅患者宅から、毎日定時と24時間緊急時に、かかりつけ医や病歴書などを共有する連携病院に、患者情報を発信することにより、実態が伴う24時間病診連携体制を確立させ、患者情報の先取り効果で、在宅での最期を迎えさせることができる。日本で初めてのシステムである。

(5)デイコールをレスキュー(救助・救急)ヘルスケアシステムに発展させる
緊急通報システム等、高齢者支援事業のほとんどが、自治体と密接な関係にある地縁組織や地縁団体と事業委託契約が行われている。これらの業務委託契約を、消防OBの組織やNPOセクター・中間支援組織に変え、委託料を組織の基盤整備強化に充当し、大災害発生時の安否確認や救援体制の整備については、避難場所である小学校の空き教室と薬品や食料品等、救援物資のあるドラッグストア内に、コールセンターを設置し、救助・救急のプロである消防OBや服薬指導ができる薬剤師を中心に地域の人々が参加して、デイコールシステムをレスキュー(救助・救急)ヘルスケアシステムに発展させ、大災害発生時の安否確認や救援体制の整備に役立てるよう緊急通報システムや安否見守りシステム等、機械システムを導入設置している自治体に提言する。

(6)Com2(Communication & Community)再生プロジェクト(コムツー再生)
Com2(Communication & Community)再生システムとは、固定電話機本来の機能「地域(人的交流)再生ツール」である「会話の力」を活用して、「コミュニケーション」と「コミュニティ」を同時に再生するものである。高齢者や災害弱者等、「人の安否確認」ができる唯一の方法も「会話の力」を活用することである。
日本は、長寿社会となり2020年には、認知症患者は、300万人に達すると予想されている。又、全国で所在不明の高齢者が相次いで発覚した問題を受け、2010年12月21日大阪府池田市議会は、民生委員らが年2回、65歳以上の高齢者宅を訪問して安否を確認することなどを定めた条例案を全会一致で可決している。更に、核家族化により、現在、独居高齢者は、460万人に達し、孤独死も増加の一途を辿っている。 このような社会的現象を防止するには、“デイコール”のような有効な安否確認システムが必要である。
デイコール「地域(人的交流)再生ツール」を活用し、地域ぐるみの高齢者支援事業に発展させ、認知症予防や孤独死防止に役立て、高齢者医療費の適正化・効率化を図り、高齢になっても健康を維持できるような予防体制を充実させ、これからの少子・高齢者時代を地域の人々と安心して暮らせる「地域共生型社会」づくりを目指している。