《枚方市の緊急通報システムの実態調査》

 

枚方市緊急通報システムに関する情報公開資料調査結果

枚方市は、平成26年1月から緊急通報システムの運用を変更し、今年7月から対象者を障害者にも広げている。変更点は、現在、NTT一般加入電話回線(アナログ回線)に限って緊急通報装置を貸与しているが、デジタル回線など他回線も可能とし対象拡大する。
なお、他回線の場合は通報時の不具合が生じる恐れがあるが、そのリスクを申請者が理解・承諾の上で受付け貸与するものとするとあるが、現在のアナログ回線を使った緊急通報システムの実態を、平成16年度は、保守管理について、平成26年度は、緊急通報の費用対効果及び電話回線不通の原因や設置料金の不正請求について調査した。

◎平成16年度 枚方市緊急通報 保守対応報告書1,081枚 情報公開を受ける。
★ 保守対応報告書 1,081枚の内容
・保守点検の定時通報なし「未連絡」 266件 内訳 原因不明処理 142件
・本体の電池切れ 628件 内訳 リスタートで復旧処理 207件
・ペンダント電池切れ 131件 ・故障対応 56件

故障対応の中には、「ペンダント通報ができなかった」という事例も含まれている。報告書には、「夜中に苦しくてペンダントを押したが、緊急ボタンは赤く光ったままで30分たっても救急車が来なかった。装置からは何の音もしなかった」などと記されている。この事例では、幸い発作が治まり事なきを得ている。
また、ホームヘルパーから「装置で緊急通報ができなくなっている」との連絡が入った事例もある。利用者本人がバルーンカテーテルが抜けたため通報しようとしたができず、訪れたヘルパーが別の電話で119番通報し救急入院したものだ。この事例ではヘルパーが訪れていなかったら、最悪の事態もありえた。

2つの事例は、「緊急時につながらない緊急通報の危うさ」を白日の下にさらしたものだ。どちらの事例も、機器を交換することで正常に戻している。が、つながらなかった原因については、一方は配線ミスの可能性があるが、もう一方は不明のままだ。

この年の9月、枚方市の定例市議会で、こうした緊急通報装置の問題点が取り上げられた。市としては、ペンダント通報ができなかったなどという事例が発生しないよう今後とも保守管理を徹底していくと答弁している。(日経BP社電子自治体ポータルサイ参照)

平成17年6月、内閣府の第三次地域再生提案募集に、緊急通報システムの使用上の問題点及び管理責任を明確にする支援措置を求める提案書を、厚生労働省及び総務省に提出した結果、厚生労働省は、緊急通報体制整備事業は、特別会計から一般会計に移行したので関係ないとの見解を示し、総務省は、端末器機まで管理責任は問えないので、発信者の電話番号を通知する(ナンバーディスプレイ)を出現させ、平成17年度で、緊急通報システムの役目は終わっている。神戸市消防局は、一般家庭用電話機から緊急通報ができる「ケアライン119」を開始している。

◎平成26年度末 緊急通報装置設置台数・税込料金
★平成27年3月分 緊急通報装置設置台数 3,146台 税込料金 3,754,433円

◎平成26年度 緊急通報受信件数・正報及び誤報件数
★緊急通報受信件数1,401件、内訳、正報524件(37,4%) 誤報877件(62,6%)

◎平成26年度 緊急通報出動対応件数
★緊急通報出動対応件数172件、出動対応者・ 消防転送・出動118件、
・出動員出動10件、・協力員出動41件、・その他出動3件 

緊急通報受信件数1,401件の内訳は、正報が524件、誤報が877件受信しているが、緊急通報の眞報は、消防への転送・出動 118件(8,4%)である。緊急通報受信の費用対効果は、消防への転送・出動要請1件当たり37万円の経費がかかっている。
神戸市消防局は、家庭用一般電話機から緊急通報ができる「ケアライン119」を始めている。緊急通報システムの役目は、10年前に終わっていることを知って頂きたい。

◎平成26年度 保守点検の定時通報なし件数・処置内容
★保守点検の定時通報なし件数691件、処置内容 ・電話回線不通230件、・ 連絡つかず126件、・その他19件、(本人死亡3件・転居4件・廃止12件)

枚方市の緊急通報システムは、1台につき9日毎に保守点検の定時通報信号を送信している。年間保守点検の定時通報なしが691件、その処置内容の中に、電話回線不通が230件、連絡つかずが126件、その他19件は、通報不能状態であり、市は、業者に通報装置の撤去回収を指示するべきである。放置状態では、設置料金の不正請求の可能性がある。

全国殆どの緊急通報システムは、保守点検しなくても、又、電話回線を含むシステムの正常な稼働を毎日証明しなくても管理責任が全く問われないため、緊急通報装置は一度設置すると放置状態に置かれている。毎日、管理責任を明確にするのがデイコールである。

全国の市区町村が、独居高齢者の孤独死防止対策や安否確認の方法として、高齢者宅に、緊急通報装置を設置したり、民生委員やボランティアの方々が、高齢者宅に、安否確認の電話を掛けているが、高齢者が事故や急病で倒れ動けない緊急時や急死・突然死の場合、緊急通報装置を作動させたり、安否確認の電話に出ることは不可能である。これを可能にするのが、経営の神様の奥様の教えから考案した、“デイコール”(定時自動発信機能)である。

事実、枚方市の「デイコール問診モデル事業」では、NTTの緊急通報用電話機(SL-5号)をデイコール(定時自動発信機能)仕様に改造して実施している。
実施成績は、毎日定時に、自動的に、ハンズフリーで、人対人の会話による呼び掛けや安否確認が、精神的刺激となり生体時計を調整し甦らせ、認知症防止に役立つことを実証している。又、会話での安否確認が、高齢者の不安感や孤独感を取り除き、安心して在宅療養生活を送れた結果、在宅での死亡率を6割に高め、高齢者医療費を大幅に削減できることも実証している。